write by pc works 記事掲載2002/07/07 記事更新/訂正2002/07/25 |
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Presario1400、TDPデザインガイド(Rev0.0G) |
おなじみのPresario1400(詳細は以下のスペック表参照)。CPUをより高速なものに換装した場合、熱対策が十分でないケースがでてくる。そこでCPUを主としたTDPを考える。
Presario1400(2000冬モデル)スペック | |
CPU | Celeron600MHz(デスクトップ用Socket370) |
メモリ | 標準64MB(カタログ値最大192MB、非カタログ値最大320MB) |
HDD | 10GB(2.5inch 9.5mm厚) |
CD-ROM | DVD-ROM |
■はじめに■
Presario1400(以下Presario)が最初から装備しているCPU、冷却装置、放熱対策は以下のようになっている。
・Celeron600MHz(1.7V、TDP15.8W)
・放熱板
・CPUファン(放熱板に固定)
・キーボード裏のプレート
・本体を構成する金属製フレームの一部
初期状態では、この構成で十分な放熱が可能だ。しかし、私のページで紹介している高速CPUへの換装を行った場合、これでは不十分なケースが多くなると考えられる。特にPen3/Celeronの1GHzクラスでは顕著に「放熱が十分でない」と思える場面が多くなるだろう。
さて、今回はこれらをふまえてTDPデザインというものを考えてみることとする。
■ノートPCの放熱に対する考え方■
ノートPCはデスクトップに劣った部分が多く、放熱に対しても同じくしかりである。また、デスクトップで通用する知識、パーツの大部分が通用しないのも考慮しておくべきである。
CPUの発熱量はTDPという値で表され、さらにレベル分けされる。各メーカはこのレベルを参考に、放熱対策を行うのである。ノートPCでの放熱と言えば「CPUファンによる空冷」、「ヒートシンクによる放熱」、「本体のあらゆる部分を使った放熱」、「空気の流れを調節した空冷」があげられるだろう。が、もっともこの4点は基本中の基本で、現存するほとんどのノートPCで実現されていると思ってよい。
では、Presarioの場合はどのように考えていくべきなのだろうか。
■Presarioの放熱を考える■
Presarioの放熱対策はお世辞にもうまくしてあると言えない。放熱板、マザーボードを主としてPC全体に熱が行き渡るよう考えられてはいるようだが、どうもCPUソケット周辺だけに熱が篭ってしまう。Celeron600〜700MHz程度のCPUならばこれで問題は無いだろうが、これ以上になると微妙なセンだろう。
例えば、標準のCPUであるCeleron600MHz(1.7V)はTDP15.8W。これをCeleron1GHzに換装した場合はどうであろう。Celeron1GHzのTDPは29Wなので実に2倍近くに跳ね上がる。2倍と書いてもピンとこないかもしれないが、これは大変な数値である。
以下に熱と空気の流れを予想し、加えた写真を示す。
↑赤い部分が発熱量、青い矢印が空気の流れの予想である。(クリックで大きい画像) |
濃い赤(発熱量大部分)で示されたCPUソケット周辺には熱が集中する。Presarioの発する熱の大部分はここが主となる。
薄い赤(発熱量中部分)で示された部分は、比較的発熱量は少ない。しかし、放熱板の接触が無く、基盤やチップセット、メモリなどがむき出しで配置されている。おまけに面積もだいぶ広い。本来、このような構造では空気の流れで正常な温度へ持っていけるはずなのだが、いかんせんCPU換装を行ったPresarioではまさに焼け石に水状態である。結局、この物理的部分には余熱が溜まってしまうのである。
では、うまい具合にこれを拡散することはできないのであろうか。…論理的には難しいことではない。空気の熱伝導率は0.02W/m℃弱程度であるから(ちなみに標準的なシリコングリスは1W/m℃といわれている)、これよりも効率的に熱を奪える物質で体積を稼ぎ、熱を拡散すればいいのである。まあ実際に大きな効果は無いにしろ、何もしないよりはマシであろう。
■改良例始めに■
簡単にヒートシンクを置いておいてみる。ヒートシンクを置くことで放熱する体積を増加させ、写真の濃い赤部分以外へ移熱させるというのが狙いだ。熱が拡散されれば部分的最大温度は下がるという考えである。
熱は一箇所に収束させるとさらに温度が上がる性質を持つため、これを拡散させるのだ。
■改良例ヒートシンク設置■
マザーボードと放熱板の間は物理的に5ミリ程度の空間がある。この空間のなかで比較的設置しやすいのはチップセットの上、メモリチップの上である。今回の作業では面積の大きいチップセット、メモリチップの上にヒートシンクを設置する。以下に設置したヒートシンク、設置後の写真を示す。
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■設置後注意■
今回行った対策は気休め程度にしかならない。実際にはほとんど意味がないと考えてもよい。これは肝に命じておくことが大切。この作業をしただけではまだまだ放熱は不十分なのだ。理想的な放熱対策は今後も引き続き考えて行く方針である。
−以上− |